全国約16,300店舗を有するコンビニを運営する株式会社ファミリーマート。2023年夏から、部門主導でのスカウト型の採用をスタートし、専門人財の採用成功につなげています。どのような採用活動の工夫や採用に対するスタンスの変化が成果をもたらしたのか。部門の採用責任者として活動に取り組んだ部長職の3名に話を聞きました。
株式会社ファミリーマート 物流本部 物流運行部 部長/山田 豊樹 氏(左) 株式会社ファミリーマート マーケティング本部 イノベーション&アライアンス推進部 部長/佐藤 邦央 氏(中央) 株式会社ファミリーマート 製造基盤・品質管理本部 製造基盤整備部 部長/加藤 力也 氏(右) |
分かりにくい業務内容を直接伝えられる、スカウト型の採用に適性を感じた
──各所属部門の概要や募集ポジション、ビズリーチの導入を決めた背景について教えてください。
山田:物流本部は、物流企画部と物流運行部があり、私のミッションは、全国約16,300のファミリーマート店舗への安定供給と物流取引の構造改革です。喫緊の物流2024年問題を含む課題は山積しており、安定供給を持続させるために、キャリア入社した社員だけでも1年で9名増員しています。当社には全国約150の物流センターから店舗へ納品していますが、納品先がフランチャイズ店であるため、営業部門・加盟店との折衝が必須になります。
この業態は、小売業の中でも、特殊で分かりにくい業態なので、従来の人材紹介会社経由では、求職者側から「思っていた仕事内容と違った」と辞退されてしまうケースも少なくありませんでした。ビズリーチでは、スカウト文や面談を通じて業務内容を丁寧に伝えられます。ファミリーマートに興味を持っていただけるように自分たちで工夫できる点が魅力で、導入を決めました。
佐藤:マーケティング本部は、店舗へ来店されるお客様の数をKPI(重要目標達成指標)として持つ唯一の部門です。現在のミッションは、店内外でのキャンペーンを企画し、その認知度をあらゆるメディアを総動員しながら高め、結果として店舗へ来客されるお客様の数を増やすこと。なかでも、担当するイノベーション&アライアンス推進部は、コンテンツ、キャラクターに代表される知的財産(IP)など、他社様の資産を活用した取り組みにより、ファミリーマートへ来店していただけるきっかけをいかに多く作り出せるかを考えて、企画を立案・推進しています。
少子高齢化の影響もあり、以前からある中食などコンビニのメイン商材だけでは新たな来店動機を作り出すことが難しくなっています。そのため、他社様とコラボしたユニークな取り組みを強化することが全社的な課題となっており、IPに関する知見を持った人財を採用し、組織体制を強化することが必要でした。
専門人財のキャリア採用では、以前から人材紹介会社を利用していましたが、手元に届く応募書類を見ても、私たちの仕事とのマッチングをイメージできないことが多く、お会いしてもなかなか採用に至りませんでした。求職者にとってもいい活動になっていないと感じており、人事に相談したところ、ビズリーチの活用を提案されました。
加藤:製造基盤整備部は、弁当や総菜、サンドイッチ、麺類、デザートなど中食の製造基盤を整備する役割を担っています。安全な商品を安定供給していくことはもちろん、いかにおいしい商品を製造できるかを追求しながら、全国の製造拠点の整備や工場の収益管理、中食の原材料管理などを行っています。商品の刷新に向けては、新たな工場への設備投資や今まで使っていなかった原材料の活用、新たな製法の導入など中長期的な商品開発が必要であり、商品開発部隊との連携しながら推進しています。
これまでのキャリア採用では人材紹介会社を利用し、中食のデイリーメーカーで商品開発や製造管理を経験してきたメンバーを中心に年間1~2名採用してきました。しかし、求める人財がより専門的で、多岐にわたっていることや、ファミリーマートの製造基盤整備業務について転職市場になかなか伝わっていないという課題があり、紹介会社経由の採用には苦戦していました。業務内容を直接伝えられるビズリーチのスカウトという手法は、私たちの部署にとって有効な方法だと考え導入を決めました。
「どんな人に来てほしいか」を問い続けた結果、出会える候補者が増えた
──採用に向けて工夫したポイントや心がけたことについてお聞かせください。
佐藤:スカウトをお送りする方のリストを作成するにあたり、候補となる方の条件を広く設定したことが、結果的にスムーズな採用活動につながりました。
ビズリーチの担当者とは、初回のミーティングの段階で「ターゲット条件」を具体的に設定していきました。「どんな人を採用したいのか」「そのためには、こういうスキルもあったほうがいいのでは」「優先度の高いスキルはどれか」「ピンポイントの条件以外に近接領域にも広げてはどうか」などとやりとりを繰り返し、候補者を広くリストアップできる条件を設定。アドバイスが分かりやすく、ビズリーチがターゲット設定のノウハウを多く持っていることが伝わってきました。
初回のミーティングで詳細まで決められたので、実際の採用活動が始まってからは、ビズリーチの担当者と頻繁にやりとりをしなくても進められ、とても効率的でした。
加藤:スカウト型の採用では、明確なターゲット設定と、候補者リストの確認・評価、スカウト送信という3つのアクションが非常に重要だと思っています。
ターゲット設定では、大手のデイリーメーカーで商品開発を担当していた方、現場での製造管理を経験している方に絞り込み、20代~30代前半の層を優先的に見ていきました。私たちの部門は平均年齢が高く、今後10年先の組織力強化を考えれば、若返りをはかることが大事だと考えたからです。
ビズリーチの導入当初は、スカウトをお送りする方の絞り込みを厳しめにしていたこともあり、なかなかスカウトにご返信いただけませんでした。そこで、佐藤同様にビズリーチの担当者からのアドバイスをもとに評価するポイントの見直しを実施。結果、スカウトへの返信も増え、面談でお会いできる方の数も増えていきました。
山田:ビズリーチの導入当初は、知名度の高い物流企業に所属している方を優先的に見ていました。しかし、それではスカウトをお送りする対象が限定的になってしまいます。なおかつ、「私たちの部門と合いそう」と思っても、希望年収が高くて、マッチしないことも少なくありませんでした。
そこで、ビズリーチの担当者に相談し、在籍企業名だけでなく、候補者が持つスキルや経験、担当してきた業務・プロジェクトなど、より詳細な経歴を注視するようにしたことで、スカウト対象になる方が増え、採用成功につなげられました。
──部長職を担い現業が忙しいなか、採用活動の時間をどのように確保していますか。スケジュール管理やチームの協力体制づくりなど、工夫した点について教えてください。
佐藤:スカウト送信にあたっては、ビズリーチの「候補者の自動追加機能」を活用しています。週初めの勤務日の午前中は「更新された候補者リストの確認と、スカウト対象者をピックアップする時間」として、タスクに組み込んでいました。
加藤:私も、月曜日にリストを確認する時間を確保し、終わらないときはスマートフォンを利用して隙間時間に見ていました。採用活動は時間との勝負。1日でも早く確認し、候補者にはすぐにスカウトを送らなければ、少しの時間差で競合他社に興味が向いてしまうかもしれません。体制としては、副部長と私と、必ず2人でリストを確認し、評価が偏らないようにしていました。
山田:2人と同様に、どんなに忙しくても「月曜日の12時から30分間はスカウトを見る時間」とルールを定めていました。なお、リストのチェックは、私を含めた部長・マネージャー職3名でチェックし、面談・1次面接に関する対応は、部長職3名とマネージャー職5名の計8名で行いました。これは、評価に偏りが生じないようにすることと、面談・面接対応のリードタイムを短くすることが目的です。そのため、「人財採用に力を入れることは、部署内の業務を円滑に、効率的に進めるために不可欠」という思いを全員で共有して、日々の採用活動を推進しました。
これにより、面談や面接の日程も迅速に設定できました。このような迅速な対応を徹底できたことは、採用成功に至った要因の1つだと思います。
採用は組織力の強化につながる優先度の高い活動
──ビズリーチを活用したことによる各事業部門での成果について教えてください。
加藤:私たちの部門では、中食デイリーメーカーで使う調理設備の開発・導入、新工場の計画立案などを担当していた1名の入社が決まりました。
当社でも、中食で新たな挑戦をするためには、新たな設備の導入などが発生します。その業務経験者に来ていただきたいと思っていたので、まさに求めていた人財を採用できたと思っています。
佐藤:約5カ月の採用活動期間を経て、これまでIPの権利活用に関わり、流通業との接点を持っていた専門人財を2名採用できました。
これまで人材紹介会社経由でも、コンテンツやキャラクターの権利元(出版社、映画配給会社、テレビ局、作家など)と関わってきた方にはお会いできていました。しかし、その知見を活用して、流通業界で来店促進のための企画立案ができるかというと難しいケースが多く、ミスマッチが生じていました。
今回の採用活動では、スカウト条件の中に「流通」というキーワードを加えたことで、流通業と何らか親和性のある方にお会いできました。リストに上がってきて職務経歴書に目を通したのは300人以上。面談でも多くの方と話せ、いい採用成果につなげられたと思っています。
山田:物流運行部では、将来有望で優秀な若手人財2名の採用・入社が決まりました。1人は、今後の物流業務において不可欠なデータ分析を任せられる人財です。もう1人は、物流センターの現場の方との折衝経験が豊富な人財で、面談の際に「本業ではないけれど、CAD(Computer Aided Design)を使った経験がある」と話してもらったことが、採用の決め手の1つになりました。
ビズリーチの導入で「カジュアルな面談」の機会を得られたことはとても大きな成果でした。人材紹介会社経由では、いきなり面接になりますが、ビズリーチ経由では、まずは面談でざっくばらんに話ができます。面接ではなく面談の場で、何気ない会話の中から、人となりやCADをはじめとする特殊スキルの保有状況などが分かり、求職者をよく知ることができました。面談からの採用率も非常に高く、直接コミュニケーションを取れることの大切さを実感しています。
──事業部門自らビズリーチを活用するなかで感じたことや、部門が直接採用をするうえでのアドバイスがあればお聞かせください。
佐藤:ビズリーチを使うことで、採用活動自体の印象がかなり変わると感じています。以前の採用活動では、いつ・何人の方を紹介されるのかが分からず、またマッチングの確率もなかなか上がらなかったため、気が付くと時間だけ過ぎてしまうという感覚がありました。
ビズリーチの活用では、リストを確認したり、部署内でほかの管理職メンバーを巻きこんでいったりと、やるべきことは増えるでしょう。しかしその分、自分たちの関与度合いは上がり、やっている手応えや充実感を得られます。求める人財を自ら採用する活動は、組織力強化の大きな糧になるはず。やると決めた以上は手間をいとわず、積極的に取り組むことをおすすめします。
加藤:採用は、非常にプライオリティーの高い業務だと思っています。部門長のもっとも重要な業務は、よい組織を作ることだと思っています。そのために、よい人財を採用することが重要です。自分の部門を強くするために、いかにやる気に満ちた、優秀な人財をチームに入れるかが何よりも大切です。
ただ紹介を待っているだけでなく、自分たちで採用しにいくスタイルに変わることで、いい人財に出会える可能性は広がるはずです。以前は、人材紹介会社内で精査されて絞られていたかもしれない人財を、最初から広く見て、自分たちで精査できるのです。時間と手間はかかるかもしれませんが、いい人財を採用でき、組織力強化につながるのなら、その時間は使うべきだと思っています。
山田:採用活動では、「熱意」「継続」「傾聴」が大事だと思います。まずは、求職者に対して、明るく、仕事に対して「熱意」とポリシーを持って取り組んでいることを伝えていく。自分たちが選ぶ立場という認識ではうまくいきません。
また、「継続」は欠かせません。もし1週間、スカウト活動をスキップしたら、そこで出会っていたかもしれない大事な人財を逃してしまうかもしれない。そんな危機感を採用チームメンバーと共有しながら、お互いにアラートを出し合いやり続けることが大事です。
そして、転職という大きな決断に向き合う求職者の思い・主張を「傾聴」し、何を求めているかを丁寧に聞く姿勢も大切にしています。結果、ご縁がなかったとしても、当社のお客様であることは変わらないので、ファミリーマートのファンを増やしていくという意識で接することをこれからも心がけます。
──編集後記── 本インタビューから見えてきた、採用成功のポイントは大きく3つあげられます。 1つ目は、人財要件の優先順位や採用難度を踏まえたターゲット選定。 これらの3つのポイントをおさえながら、事業部門の部長自らが、キャリア採用を「組織力強化のための極めて重要な活動」と捉え、高い実行力で取り組まれたことが、ファミリーマート様の採用の大きな成功要因でした。 本記事をご覧の皆様も、求める人財を短期間で採用するために、ビズリーチを活用した部門主導での採用にチャレンジしてみませんか? ビズリーチ活用事例 取材・編集担当 |