企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を手掛ける株式会社Speee。部門自ら採用活動を推進するバントナー事業部では、ビズリーチとの協業で候補者検索条件を見直し、これまでと異なるターゲット層へのアプローチを行ったことで、DXコンサルタントなどの採用難度の高いポジションの採用に成功しました。取り組みの工夫や得られた成果、部門内の変化について、児玉文香氏にお話を伺いました。
CX本部 バントナー事業部/児玉 文香 氏 2020年に、新卒で株式会社Speeeに入社。マーケティングインテリジェンス事業部のアナリシスとして、大手転職サイト・大手医療サイト等の分析、戦略立案、改善策の提案などを実施。アナリシスとして社内最速水準で昇格し新人賞を受賞。2021年9月より、バントナー事業部にて、SaaSプロダクト、大手消費財メーカーの包括的なマーケティング支援など複数のDXプロジェクトのアカウントディレクターを務める。現在はバントナー事業部専任の採用担当として、採用戦略の立案から実行までを実施し、事業推進の一員を担っている。 |
事業部専任の採用担当として母集団形成周りの課題に向き合った
──はじめに、Speeeの事業概要について教えてください。
2007年に創業し、「解き尽くす。未来を引きよせる。」というコーポレートミッションのもと、データドリブンな事業開発の連鎖によってレガシー産業から金融まで幅広い領域でDXを推進しています。
2018年に立ち上がったバントナー事業部(2023年11月に「パーム/PAAM」から「バントナー」に名称変更)では、企業のDXを伴走する伴走型コンサルティングサービスを展開。大手自動車メーカー・外資系大手コンシューマーグッズメーカー・老舗機械メーカーなど、幅広い業種・業態の企業への支援実績があります。
──Speeeの採用活動の状況、バントナー事業部での採用の課題感について教えてください。
複数事業を手掛けるSpeeeでは、「各事業部が自律して事業経営する」というスタイルをとっています。各事業部に経営判断が委ねられており、バントナー事業部内では、コンサルティングサービスの提供だけでなく、事業戦略や事業計画やマーケティング、採用まで実施しています。当社全体のキャリア採用部門もありますが、バントナー事業部の事業拡大に伴う採用強化を目的に、2021年頃から事業部が主体となる採用活動を進めています。
私は2022年に事業部専任の採用担当になりました。現在は採用戦略立案から実行まで、スカウト送信などのオペレーション業務も含めて私がメインで担当しており、面接などの選考は事業部のメンバーと協力して進めています。
私が採用担当に異動したときは、ちょうどビズリーチ経由で1名採用したタイミングで、ダイレクトリクルーティングの手応えが出てきたかな、という時期でした。しかし、当時は複数の役割を掛け持ちで採用にかかわっていたため、採用活動に十分な時間を割けていませんでした。そうしたなか、ピンポイントでターゲットとしていた人材にビズリーチ上でアプローチをし尽くしてしまったり、返信率の改善に限界を感じていたり、と課題も多くありました。
返信率の向上を目指し、ターゲットとなる人材に素早くスカウトを送れる仕組みを構築
──児玉さんがバントナー事業部の採用担当となってからの、ビズリーチの活用について教えてください。ターゲットにアプローチし尽くしてしまっていた状況で、どのように新たなターゲットを探していったのでしょうか。
以前は、コンサルティングファーム出身者、コンサルタント経験者を在籍企業名や業界で意図的に絞って候補者を探していました。そのため、ターゲットはこれ以上拡張の余地がないと思い固定したまま、スカウトの打ち出し方や文面を変えて結果を検証するなど試行錯誤を重ねていました。
スカウトの返信率を改善するためには「誰に対して(Targeting)・どんなメッセージで(Messaging)・どんなプロセスを経て(Processing)送るか」の三つの要素があります。ビズリーチとの定例ミーティングで、「メッセージよりも、よりスカウト返信率改善にインパクトのある『ターゲット』と『プロセス』の二つを改めて磨きこみしましょう」と提案をもらい、まだ改善できる余地があることに気づかされました。
ターゲットを拡張するにあたり、ビズリーチの担当者からは「まずは広く網羅的に送り、そこから絞り込んでいくのがいい」というアドバイスをもらいました。ターゲットがズレてしまうのではないか、という懸念もありましたが、面接官にも協力を仰ぎ、丁寧にチューニングを行いました。実際に在籍企業名や業界の絞りを外してターゲットを広げたうえで、どのような経歴の方がバントナー事業部でご活躍いただけるのかをデータ化して分析しながら、1カ月ほどかけて適した検索条件を探していきました。
──ターゲットへのアプローチ数(スカウト送信数)を最大化するために、オペレーションで工夫したこと、取り組んだことはありますか。
新しいターゲット層がある程度定まってきたフェーズで、より早く、網羅的にスカウトを送れるように、ターゲットリストへの「候補者の自動追加機能」の活用を進めました。
この機能を活用した効果は大きく二つありました。一つ目は、転職意欲が上がったと思われる候補者により早くスカウトを送れるようになったことです。以前は「1カ月以内にログインした人」のなかからスカウトを送る方を選んでいました。「候補者の自動追加機能」を導入し、条件に「3日以内にログインした人」を設定したことで、転職意欲が上がったと思われるタイミングでピンポイントにアプローチできるようになりました。
二つ目は、オペレーションの効率化と網羅性の担保です。これまでの運用ではターゲットリストには、「スカウトを送りたいと思える方」のみを目視で確認し、手動で追加していました。本機能を使うことで、ターゲットの可能性がある方も自動で追加されるようになったため、効率よく網羅的にスカウトを送れるようになりました。
市況観を踏まえた客観的なアドバイスをもとに、精度の高いデータ検証を実現する
──ターゲットを広げ、より早くアプローチできるオペレーションを構築したことで、実際にどのような方の採用成功につながりましたか。
直近2年で、ビズリーチ経由でDXコンサルタントのポジションなど5人の採用を実現できました。
ビズリーチの登録者のなかには、転職潜在層の方や、さまざまな企業から多くのスカウトを受け取っている方もいます。ただ、最初にスカウトをもらった企業のことは記憶に残りやすいでしょう。スカウトを受け取ったタイミングではSpeeeに興味を持ってくださらなかったとしても、転職意欲が高まったり転職活動を進めたりするなかで、Speeeからメッセージが来ていたことを思い出し、当社への転職を前向きに検討していただけるという可能性をより高く醸成できていると感じています。
実際に、大手コンサルティングファームのマネージャー、シニアマネージャー経験者が入社するなど、他の採用チャネルでは出会えないようなポジションの経験者を、ビズリーチ経由で採用できました。
また、ターゲット層を広げたことで、事業会社でデータ活用に携わってきた人の採用にもつながりました。コンサルティングファーム出身者にこだわっていた以前であれば、ターゲットだと思っていなかった方でしたが、経歴やスキルを見ていくとまさに当社が求める人材でした。
──採用のターゲットやプロセスを変えたことによる、社内の変化をどう感じていますか。
もっとも大きな変化は、ビズリーチがSpeeeにとって重要な採用チャネルの一つという認識が広がったことです。
以前はスカウト返信率がなかなか上がらず、「時間とパワーをかける必要があるのか」「自分たちが求めるターゲットにビズリーチ経由で出会うことは難しいのではないか」と懐疑的だった時期もありました。
しかし、Speeeの強みであるデータ活用を採用プロセスにも取り入れ、候補者検索条件を変更するたびに仮説と検証をスピーディーに重ねていったところ、「この条件は緩和してもよさそう」「やはりこの条件は譲れない」などと傾向が見えてきました。その結果、人材要件についての気づきを得て新たなターゲットにアプローチできるようになりましたし、実際に返信率の向上につながりました。
他の採用チャネルでは、短期間でのターゲット変更や仮説検証はなかなか難しいと思います。「ビズリーチだからこそ、自分たちでいい人材を見つけられる」という思いが、事業部内に広がっています。
──今後の採用活動における展望についてお聞かせください。
新たなターゲットの開拓により、より多くの候補者の方と接点を持っていきたいです。直近はターゲットの拡大をメインに取り組んできたので、改めてスカウト文の磨きこみにも力を入れていきます。
並行して、バントナー事業部の魅力を伝えていくために、認知率向上に向けた採用広報もこれからの課題だと思っています。
──最後に、ビズリーチを活用して採用活動を行っている企業様へ、アドバイスやメッセージがありましたらお願いいたします。
約2年間で改善を進められたのは、ビズリーチとの協力体制が築けたからこそだと思っています。
Speeeでは、データドリブンで泥臭くPDCAを回していく文化があり、データをきちんと蓄積し、可視化された数字をもとに事業部内で目線合わせをしていくプロセスを大切にしてきました。ただ、そのデータの水準や市場観などを、自分たちだけで決めるのは難しいことです。そこで、他社事例や転職市場の相場観を持っているビズリーチからアドバイスをもらうことで、「返信率はこのくらいを目指せばいい」「スカウト送信数は〇通を目安に動いていこう」などと設定でき、意思決定にも迷いがなくなりました。
業界や事業内容、採用ターゲットの難度は各社さまざまだと思いますが、ビズリーチが持つ豊富な情報をぜひ取り入れて、市場観と自分たちに見合った目標基準を設けていくといいのではないでしょうか。