「世界を驚かすサービスを創出する」ことを目指し、2009年に創業されたHEROZ株式会社では、将棋AIの開発・サービスの運用で実績を重ね、現在、ビジネス領域でのAI活用に注力しています。そんな同社がビジネス部門の採用を強化するにあたり、ビズリーチのサイト上に掲載するオリジナル取材記事「公募」を活用し、複数名の採用に成功しています。ビズリーチで公募を実施した理由やその成果、実施による採用活動の変化について、Recruitment & PR Managerの小林武文氏にお話を伺いました。
Recruitment & PR Manager/小林 武文 氏 2009年に東証プライム企業のデジタルマーケティング部に新卒入社。その後、HR系大手で新規事業の法人営業を経てHR系ベンチャーに転職。BtoBマーケティングと採用支援のカスタマーサクセスを経験し、HEROZ株式会社の採用兼広報マネージャーとして入社。 |
ビジネス部門の採用力強化に向けて、ビズリーチの公募で認知度の向上を図る
──はじめに、HEROZの事業概要についてお教えください。
2009年の創業以来、HEROZは「将棋×AI」アプリの開発により新しいゲームの面白さを世に提供してきました。現役将棋プロ棋士に勝利した将棋AI「将棋ウォーズ」や「BackgammonAce」の開発を通じて、機械学習などのAI関連技術を蓄積し、現在はBtoB領域でそれらの知見をビジネス課題の解決を目指すAIサービスへと応用し、事業を拡大しています。
──HEROZの採用活動について教えてください。どのようなポジションを募集し、年間で何人を採用しているのでしょうか。
2022年度は年間20名の採用を目指しています。現在(2022年10月時点)、従業員60名中の半数以上がエンジニアですが、BtoB領域での事業拡大に向けて、2021年末からビジネス部門の採用を強化し始めました。
AIの将来性は、15~20年前のインターネットと同じだと考えています。そのため、AI事業に注力する価値をお客様に伝えていくべく、今後は、企業に対するAI導入の構想を策定するコンサルティングにも注力していきます。その際、当社は金融・建設・エンタメゲーム業界のお客様が多いので、これらの産業に関する知見のある方や、AI知識の土台となる統計学に明るい方をターゲットに採用を行っています。
──スカウトと併せて、ビズリーチで公募を実施したとのことですが、なぜ実施しようと思ったのでしょうか。
当時の悩みはとてもシンプルで、即戦力となる方の応募の数が非常に少ない状況にありました。特にビジネス職では、事業認知度の低さもあり難航していました。
しかし元々当社としては過去のビズリーチでのスカウトを通して、ビズリーチに登録している会員と当社のマッチ度が高いという印象を持っていました。実際、現在の当社の経営幹部らもビズリーチ経由で入社した実績があります。ビズリーチのデータベースと当社の相性の良さから、サイト上での露出度を高め、母集団形成の成果を最大化するためには、公募が最適だと思い、実施を決めました。
公募の記事作成を通じて、メンバーの採用意識が変化
──公募では経営層やメンバーへのインタビューを複数回の掲載で紹介しましたが、制作時に注力したことなどはありましたか。
ターゲット設定に注力しました。ビズリーチの公募は、スカウトとは異なり、異業界・異職種など、ターゲットとしている会員以外にも多くの方が閲覧します。そのため1回の掲載でHEROZのことを知ってもらうのではなく、複数回の記事掲載を行い、登場するメンバーや内容を変えることで、伝えたいことが正しく伝わる方法を仮説検証していきました。
1回目の記事には、代表取締役Co-CEOの林と高橋に登場してもらい、「創業時の思いやビジョン」「今後目指したい事業の方向性」といった、当社の大枠を中心に語ってもらいました。ターゲットをそこまで絞らず、HEROZという会社の認知を広げることを目標にしました。
その後の記事では、より現場のリアルな話を伝えようと、事業部のマネージャーに出てもらいました。エンジニアマネージャーやチームリーダーが、「手掛けてきた具体的なプロジェクト」「HEROZの業務の面白さ」などを語り合い、候補者が入社後の活躍をイメージできるように意識しました。
──その結果、どのような方を採用できたのでしょうか。
2名の採用につながりました。1名は、インターネット大手出身のセールス経験者で、現在の当社セールスチーム一番の若手です。もう1名は、ソフトウェアの研究開発をする企業でAI導入プロジェクトやアライアンスに携わってきたメンバーです。「AI分野の専門性を高めたい」と考えていたときに、HEROZの公募記事を読み、ビジネス領域に広げていくこれからの事業成長性に期待して応募してくれました。
──公募を実施しての気づきや、採用活動の変化について教えてください。
公募の実施を決めた段階では、「スカウトや母集団形成は人事がやるもの」「現場の部門は、面談・面接対応から頑張る」というスタンスがあったように思います。しかし、インタビューなどの制作を通して、部門に「自ら採用していく」という雰囲気が醸成されました。
メンバー自身も、インタビューを通じて自分の仕事の意義や面白さを言語化していく必要があり、「どのように話せば、候補者にHEROZの魅力が伝わるのだろうか」と考える機会が生まれました。母集団形成の段階から採用活動に携わっているという責任感が、少しずつ現場に広がっていく感覚を、私自身感じましたね。
また公募の実施を通して、部門・メンバーの採用活動への協力がよりスムーズになりました。たとえばスカウト文の作成では「この内容は、候補者が読んだ際に分かりやすいだろうか」など、部門に相談しながら行うことも増えています。
公募の記事は、公開終了後にビズリーチのサイト上からは閲覧できなくなりますが、URLからの閲覧はできますので、主に面談・面接を通過した候補者に当社の参考情報としてご案内しています。面談・面接を通過した候補者は当社への興味をある程度持っていると思うので、記事を通してHEROZの詳細を伝え、当社への入社意欲を高めることを目的に活用しています。
「企業の思い・決意」を伝える手法として公募を活用
──公募を実施するにあたり、印象に残っているサポートなどはありましたか。
ビズリーチの公募は、記事作成に向けた流れがとても丁寧だなと感じています。「誰に、何を、どういうメッセージで伝えるべきか」を、日頃支援をしてくれるビズリーチのコンサルタントや公募専任チームが整理してくれるので、インタビューされるメンバーは質問に答えるための事前準備の段階で、考えが整理されていくのだと思います。
何を話すべきかをしっかり用意してくれるメンバーが多かったこともうれしかったですね。事前準備できちんと記事構成や質問が考えられていると分かるからこそ、受け手もそれに応えようとするのだと感じました。また、取材を通して「この言葉は、ぜひスカウトでも使いたい」と思う発言が出てきて、求人やスカウトに活用しました。
ビズリーチからの採用ノウハウとして役立ったのは、面談・面接での接し方に関する資料でした。企業と候補者は対等な関係であり、お互いが選び合うものです。しかし大手企業の出身者が多い当社には、「面談・面接=企業が評価するもの」と思っているメンバーも少なからずいました。「ビズリーチのデータベースには転職潜在層が多く、ビズリーチの公募から応募した方のなかにも、試しに応募してみようという方がいる」ことなどを社内で共有し、面談・面接ではこちらからの丁寧な情報共有を心がけることなどを周知できたので、公募からの採用に成功できたのだと思っています。
──今後の採用活動において、どのようなことに注力していきたいとお考えでしょうか。
HEROZは「『将棋AI』の開発、ゲームアプリの運用をしている会社」という認知が一般的です。しかし今後は、BtoCのみならず、BtoBのビジネスAIでも存在感を示す会社として、認知を変えていきたいと考えています。そのために、将棋AIのコア技術を生かしながら、どのようなビジネス・価値を創出できるのかを具体的に発信していく必要があります。
AIはこれから、インターネットに続く産業になっていくと考えています。このタイミングで、HEROZが培ってきた高いAI技術をビジネス領域に広げていくためにも、大きなチャレンジにわくわくしてくれる方や、事業拡大を楽しんでくれる方の採用を目指します。そのためにも引き続きビズリーチの活用を強化しつつ、公募のような採用広報にも力を入れていきたいと考えています。
──どのような企業にビズリーチの公募をおすすめしたいですか。
HEROZのように「小さくて認知度がまだまだなくても、本気で世の中を変えていこうとしている会社」には、企業としての「思い」を発信する一つの手法としてぜひ検討していただきたいと思います。ビズリーチには、キャリアについてしっかり考える会員が多く、閲覧だけでなく一定の応募もいただけたと感じています。特にベンチャー、スタートアップの事業拡大フェーズでは、経営者が社内外に向けて「ビジョンを約束する」ことが大切ですので、「決意」を伝える方法として、ビズリーチの公募を活用するのも良いと思います。