クラウドサービス「ServiceNow」とNTTデータがタッグを組み、企業のDXをサポートするべく起ちあがったServiceNowビジネス統括部。最初は20名弱の組織でしたが、事業スタートから1年半がたった現在、60名超の組織にまで拡大しました。その成長を大きく支えたのが、人事との連携強化による「ビズリーチ」の活用です。
課題:
ServiceNowをクライアントの課題に落とし込んでNTTデータのビジネスにつなげられる人材が不足している。
効果:
人事による選考とは別に、現場の社員が直接「カジュアル面談」を実施。
候補者に実際の業務の魅力を直接アピールできるようになったことで、内定承諾率が向上し、多くの採用決定につながる。
企業概要
- 会社名:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(略称 NTTデータ)
- 本社所在地:〒135-6033 東京都江東区豊洲3-3-3 豊洲センタービル
- 設立年月日:1988(昭和63)年5月23日
- 代表者:代表取締役社長 本間 洋
- 資本金:1,425億2,000万円(2022年3月31日現在)
- 連結売上高:2兆5,519億円(2022年3月期)
- 従業員数:15万1,600名(グループ全体、2022年3月31日現在)
- 決算日:3月31日
- 主な事業内容:システムインテグレーション事業、ネットワークシステムサービス事業、
その他これらに関する一切の事業
ServiceNowビジネス統括部長
我妻 智之
2001年の入社以降、金融系の大規模システム開発のSEおよびソフトウエア技術の開発、運用高度化コンサルティング、ソリューション展開等を経験。2015年から、アプリケーション開発プラットフォームとして、ServiceNowの可能性にいち早く着目。以来、ServiceNowの導入およびコンサルティングに従事。着々と実績を積み、2021年1月にServiceNowビジネス推進室(現:ServiceNowビジネス統括部)を立ち上げ、全社のServiceNow事業の戦略立案および事業を牽引。
事業の成長に欠かせない人材を確保せよ
拡大成長が見込める新サービスへの期待と課題
2021年1月、ServiceNowの最新のデジタル技術に、NTTデータが長年培った業務知識とIT活用経験を掛け合わせ業界に特化したサービスを整備し、お客様のDXに貢献する新事業としてServiceNowビジネス推進室を立ち上げました。
ServiceNowは「Salesforce」や「SAP」などの海外発ソリューションに比べると、まだ国内で認知度は高くないものの、急速に成長している優れたエクスペリエンスを生み出すデジタルワークフローサービスです。2026年までに150億ドルのビジネスに成長すると言われており、日本でも急速な成長が見込まれています。当社として、この急拡大するマーケットにおいて大きなシェアを取るべく事業化されました。
NTTデータはServiceNowの活用が社内でも進んでおり、ノウハウもたまっていることから、その利点、特徴、活用の効果などを最大限にアピールしていけると感じていました。しかし、サービスが良くとも、それだけでは成果に直結しないとすぐに痛感することになります。
事業成長のカギは人材である
サービス提供を始めてすぐに、事業の成長があまりに速く人材が圧倒的に不足しそうなことに気づきました。当時はServiceNowの認知度が低いなかで、同サービスをクライアントの課題に落とし込んでビジネスにつなげていける人材が少なかったため、提案数そのものに限界があったのです。
提案数に限りがあれば、当然売り上げも限度があります。立ち上げから3、4カ月たち、急速な事業拡大のためには、まずは人材を確保することが急務であるという答えに行きつき、それこそが事業の成長に直結していくと確信しました。
では、どのように要件に合致した人材を確保するのか。事業成長を左右する課題に対面したときに、社内の人事からアドバイスを受け、紹介されたのがビズリーチでした。
最初は広く集め、手厚いフォローで印象付ける
候補者の反応がないことで気づいた、候補者に求めるマインド
紹介された当初は「スカウトのサービスがある」程度の認識で、まずは少しずつ利用をしてみようと1週間に数通を送るのみでした。何万人といる人材のデータベースから気になった候補者の経歴をじっくりと読み込み、どういう人なのか、当社に入社したらどんなふうに働いていただけるかといったことを想像しながら、スカウトする対象者を時間をかけて厳選しました。
ところがまったく反応がありません。「全然来ないな」という印象を持ち、ある日、対象者を厳選するのではなく、経歴をあまり細かく書いていない人も含めて、思い切って多くの方に送ってみたところ、数人から返信が来るようになりました。
この時に、ServiceNowはクライアントだけではなく、候補者に対しても認知度が高くはないこと、「NTTデータが、ServiceNowという新しいサービスの領域に取り組んでいることに期待を寄せる層」にアピールしなければならないと思い至ったのです。
候補者の気持ちを向かせるのは、現場の自分たち
それからは候補者を探す条件を幅広く設定し、母数を増やす方向性へとシフトしました。時には返信が少なく、落ち込むこともありますが、事業の魅力、会社の魅力とは別のものと割り切るようにしました。そして、返信をくださった候補者の方には丁寧なフォローを心掛け、その後の採用プロセスの中で事業の魅力を伝えています。
スカウト内容に興味を持っていただくような「チャレンジしたい人」が全体の何パーセントいるのか。求人やスカウト文の書き方で、多少その確率を引き上げられますが、全体としては決して多くない層であることには変わりません。しかし、返信をいただいた後に丁寧にフォローすることで引きつけを行い、内定を獲得し承諾率を上げられます。いかに候補者に直接働きかけて、候補者の気持ちを前向きにするかは、自分たちの努力次第だと考えました。
ビズリーチ公募サービスの掲載画面
現場が候補者との面談を直接行うことで、内定承諾率が向上
現場の参加が採用活動強化を促進
ビズリーチを活用するにあたり、「人事と共に、現場も積極的に採用活動を実施する」ことが、私のポストには非常に重要なポイントでした。特に、カジュアル面談です。候補者に改めて事業の魅力を感じてもらうため、カジュアル面談は、現場で業務に携わっている私たちがチームを組み、独自で実施することにしました。その結果、採用率がとても上がったと実感しています。
他の人材紹介会社も利用していますが、ビズリーチでの「より多くの方にリーチし、候補者のフォローを丁寧に行う」という経験をもとに採用活動をすることで、全体の採用率も向上しています。しかしやはり、ビズリーチで出会った候補者の方が内定承諾率が高いという特徴はあります。他の人材紹介会社経由で別会社から内定をもらっていたが、当社に入社を決めたという社員もいます。
その理由として考えられるのが、選考プロセスの中で、われわれ現場のメンバーが候補者と直接コミュニケーションを取れる点です。カジュアル面談を現場の自分たちが行い、その後のアプローチにもすべて社内の人間が直接関わることで、候補者との距離が縮まっているのではないでしょうか。
もちろん通常業務に加え、採用に関する工数が発生します。しかし、それは組織を拡大するうえで必要な工数と捉えています。ビズリーチでは候補者に直接語りかける機会が多いからこそ、内定を承諾していただける率が高いのだと思います。
候補者との距離を縮めるカジュアル面談
カジュアル面談では、求人ポストに対していかに前向きに考えていただけるかに焦点を当てています。知らない領域に対して「やってみたい」と思っていただくことが大事です。そのため、商材や業務内容の説明はしっかりと行い、後半では質疑応答の時間を多めに設けて候補者に寄り添ったものにします。
いただいた質問には常に前向きに返答できるようにし、候補者から質問がなくなった場合でもそこから会話を重ねて濃密なコミュニケーションをとることに注力しています。組織を代表して候補者とお会いする者として、「こういう組織に入りたい」「一緒に仕事がしたい」と思っていただける関係を最初に作ることが、内定承諾率が高まると考えるからです。
カジュアル面談を行うことで、発見もありました。候補者からざっくばらんに質問をいただくと、候補者が企業のどこを見ているのか、業務に対してどのような展望を持っているかなどが見えてきます。そこで想定Q&Aを作り、どのような角度から質問が来ても真摯に、そしてスムーズに回答ができるように心掛け、「当社でならあなたの思いを実現できる」ことを伝えています。
採用チームを自組織内で形成し、業務の魅力を直接アピール
即戦力となる経験者採用は欠かせない
ServiceNow事業の成功には優秀な人材確保が欠かせない、と本格的に採用活動に踏み切ってから約1年。結果が出てきていると感じています。特にビズリーチの採用決定が一番多く、年間で8名の採用が実現し、社内異動も含めて40名近くの新しい仲間が組織に加わりました。
採用活動に力を入れ始めた当初は、現場では私ともうひとりの2名で対応していましたが、現在は10名ほどの採用チームを組んで活動しています。人材データベースから基本的な条件に合致する人材を探し出す担当者や、カジュアル面談を行う担当者、予定の調整をする担当者など役割分担をすることで、通常業務があるなかでも適切な採用活動を行えています。人事が私たち現場のことを考えてチーム組成のアイデアを形にするなど協力してくれたことで、ここまで体制を構築できました。
候補者のライフステージに近い社員による採用活動
チーム制にしたのは、複数人で対応しなければ採用業務が回らないということももちろんありますが、それ以上の理由があります。
私たちがアプローチしたい「ServiceNowというまだ一般的な認知度が高くない商材を、新しい使い方でビジネスにしていくことにチャレンジしたい層」は、業務内容や商材の魅力を現場の観点から詳しく聞きたいと思っているはずだと考えています。カジュアル面談やその後に行うカジュアルトークでは、管理職である私が主体的になるよりも、現場で活躍をしている社員が対応したほうがコミュニケーションをとりやすくなります。そのため、候補者の年齢やライフステージに近いメンバーが対応しています。
候補者に実際の業務を身近に感じていただき、適度な距離感で候補者と関係性を保ち続けることで、候補者には当社が選択候補としてストックされます。候補者にインプットされた当社の良いイメージは、すぐにではなくとも将来に大きな影響を及ぼす可能性があることから、回答は急かさず「何度でも面談を行いますよ」という前向きな姿勢であることを大切にしています。
ServiceNowビジネス統括部だけではなく広報・人事が一体となって採用を強化
商材やポストに合わせた方法で効果を高める
おかげさまで採用活動に慣れてきたこともあり、同じ条件で絞り込んで検索をかけて新しい候補者を探し続けるだけではなく、現在は複数の条件を組み合わせたり条件を変えたりするなどして、ビズリーチが保有する人材データベースを最大限活用するようにしています。
例えば、これまでIT関連の会社に勤めている人を優先してピックアップしていましたが、IT会社ではないけれど、同様のマインドを持つ人材を条件からすくい上げたりしています。これはServiceNowという商材だからこそできる条件設定であり、自分たちが求める人材像ごとに方法をカスタマイズしていくことが大事だと思います。
今後、より強力な採用活動を展開していくにあたり、広報や人事、現場が一体になって採用ブランディングを確立させながら取り組んでいきたいと思います。
(所属・役職等は制作時点のものとなります)